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 2011年度 研究支援 成果報告

放射光赤外分光法による角閃石族鉱物OH伸縮振動バンド微細構造の圧力依存性
石田 清隆
 ダイヤモンドアンビル・セルを用いて地球中心部の温度圧力条件を再現し、コアの物質科学的研究から、更に地球惑星の進化を目指す研究が近年めざましい進歩をとげている。これらの研究の光源には極めて高輝度の放射光が用いられている。平成21年度後期からSPring-8に課題申請していた“角閃石鉱物の赤外OH伸縮振動バンド微細構造の圧力依存性”が採択され、平成22年度前後期の現在までに、多種類の角閃石族鉱物のOH伸縮振動バンドの微細構造の変化と圧力シフト様式を、最高圧力31.5GPa(地球内部約950kmの下部マントル上部層の圧力に相当)まで測定して解明した。すなわち、斜方晶系Pnma角閃石族鉱物の赤外OH伸縮振動バンド微細構造の圧力変化から、出現するA-Dの4本のうち高波数側のA:(MgMgMg)-OH伸縮振動バンドほど、加圧に伴い大きく高波数側にシフトしていき、大きなイオン半径のFe2+イオンに較べてMgイオンの占める八面体ほど収縮率がおおきいことがわかった。さらに、10GPa 付近にシフト量(率)の変曲点があり、大きなイオン席から収縮していくのか、チェインの違いが減少していくのか、あるいは、加圧にともなってイオン性の違いがなくなっていくのか、今後さらに究明していく課題である(図1a,b)。つぎに、単斜晶系フェロホルムキスト閃石が、7GPa付近から斜方晶系に相転移し、20GPa以上では加圧に伴い高波数側にシフトしていたOH伸縮振動バンドが、低波数側にブロードになってそれまではab面に垂直であったO-Hの傾きがゆるくなり、伸長してくることが推定される。同じく、Aサイトにアルカリイオンが入るリヒター閃石においても15GPa以上ではOH伸縮振動バンドが低波数側でブロードになってくることが判明した。なお、これらの実験は、(財)高輝度光科学研究センターの森脇太郎博士および池本夕佳博士、大阪市立大学理学部篠田圭司教授との共同で行われた。
 図1a. 斜方晶系Pnmaホルムキスト閃石の放射光赤外OH伸縮振動バンド微細構造の圧力変化。0.0001~8.93 GPaまでの加圧条件下。
 図1b. 9.45~19.21 GPaまでの加圧条件下と18.60~大気圧までの減圧条件下でのスペクトル。