プロジェクト研究・研究集会支援
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特色ある研究プロジェクト 成果報告
阿部 芳久先生
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直野 章子先生
 2010年度 研究支援 成果報告
 2011年度 研究支援 成果報告

九州大学伊都キャンパスを中心とした糸島半島のタマバチ
 (昆虫綱:膜翅目)相の解明
阿部 芳久
 私と二人の大学院生は、アカガシ亜属のアラカシに虫こぶを作るタマバチの2新種を伊都キャンパスから記載した。これら2種のホロタイプ(holotype:新種を記載・命名する際に指定される世界で唯一の標本)は生物多様性講座の標本室に保管されている。2種のうち1種は、多くの日本産タマバチの生活史を解明された桝田長(ますだ・ひさし)氏に献名してPlagiotrochus masudaiと命名し、もう1種は、タイプ産地の伊都キャンパスにちなみSynergus itoensisと命名した(註:-ensisはラテン語で地名を形容詞化したときの接尾辞)。

 コナラ属(ブナ科)の植物は、アジア、アメリカ、ヨーロッパに分布するコナラ亜属とアジアにのみ分布するアカガシ亜属に大別される。コナラ亜属の植物は455種が知られ、それらに虫こぶを作るタマバチは約1000種が知られていた。ところがアカガシ亜属の植物は150種が知られているにもかかわらず、虫こぶを作るタマバチは1種も記載・命名されていなかった。我々は、アカガシ亜属に虫こぶを作るタマバチを世界で最初に相次いで記載・命名した。我々の研究はアカガシ亜属に虫こぶを作るタマバチの潜在的豊富さを示唆している。
 
 Synergus itoensis(体長:約2 mm)                Plagiotorochus masudai(体長:約2 mm)

Abe, Y., T. Ide and N. Wachi (2011) Discovery of a new gall-inducing species in the inquiline tribe Synergini (Hymenoptera: Cynipidae): inconsistent implications from biology and morphology. Annals of the Entomological Society of America 104: 115-120. 2011年3月発行

Ide, T., Wachi, N. and Y. Abe (2010) Discovery of a new Plagiotrochus species (Hymenoptera:Cynipidae) inducing galls on the evergreen oak, Quercus (Cyclobalanopsis) glauca Thunberg, in Japan. Annals of the Entomological Society of America 103: 838-843. 2010年11月発行