プロジェクト研究・研究集会支援
   成果報告
田中 良之先生
直野 章子先生
特色ある研究プロジェクト
   成果報告
阿部 芳久先生
荒谷 邦雄先生
石田 清隆先生
嶋田 洋一郎先生
施 光恒先生
中野 伸彦先生
細谷 忠嗣先生
松永 典子先生
三隅 一百先生
山尾 大先生
Andrea GERMER先生
 2010年度 研究支援 成果報告
 2011年度 研究支援 成果報告
九州大学伊都キャンパスをコアサイトとした日本のタマバチ
 (昆虫綱:膜翅目)相の解明
阿部 芳久
 私と二人の大学院生は日本のタマバチ相の解明をおこなっている。今年度、本プログラムが採択され御支援を受けたおかげで研究が進展し、その成果の一部を国際誌(アメリカ昆虫学会誌)に以下の2編の論文として発表することが出来た。この場を借りて厚くお礼申し上げる。
  成果 1 Wachi, N., T. Ide and Y. Abe (2011) A new inquiline species of Saphonecrus (Hymenoptera: Cynipidae: Synergini) associated with cecidomyiid galls on oak trees in Japan. Annals of the Entomological Society of America 104: 115-120. 2011年5月発行
成果 2 Wachi, N., T. Ide and Y. Abe (2011) Taxonomic status of two species of Andricus (Hymenoptera: Cynipidae) described by Shinji (1940, 1941) as gall inducers on Cyclobalanopsis. Annals of the Entomological Society of America 104: 620-626. 2011年7月発行
 成果 1 タマバチ科のハチは世界で約1,350種が知られ、1,200種近くが植物に虫こぶを形成し、残りの種は自分では虫こぶを形成せず、他のタマバチが形成した虫こぶに同居する。前者は虫こぶ形成蜂、後者は同居蜂と呼ばれる。通常、同居蜂はタマバチの虫こぶに同居するが、タマバエの虫こぶにも同居していた例が4種で知られていた。今回、我々の研究グループはタマバエの虫こぶにのみ同居するタマバチを見出し、新種として記載・命名した。このタマバエの虫こぶはクヌギに形成されるので、もともとクヌギ上のタマバチの虫こぶに同居していた祖先からタマバエの虫こぶにのみ同居する新種のタマバチが派生したと考えられる。本種のホロタイプ(holotype:新種を記載・命名する際に指定される世界で唯一の標本)は生物多様性講座の標本室に保管されている。本種は、ホロタイプを採集した湯川淳一九州大学名誉教授に献名し、Saphonecrus yukawaiと命名された。
 成果 2 1940年と1941年にシラカシに虫こぶを形成するタマバチとして記載・命名された2種のハチは、同居蜂が誤って虫こぶ形成蜂とみなされたものだと、Yukawa and Masuda (1996)が指摘していた。我々の研究グループはこれら2種の成虫の形態を精査するとともに生活環も確認することによって、Yukawa and Masuda (1996) の指摘が正しいことを確かめ、2種の所属をAndricus属からUfo属に移して形態の再記載をおこなった。さらに、これら2種のホロタイプは失われていたので、ネオタイプ(neotype:ホロタイプが失われた時に指定される世界で唯一の標本)を指定した。これらのネオタイプも生物多様性講座の標本室に保管されている。