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九州大学P&P
 ●概要
本研究は、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)およびフィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA)等の分析機器を用いて、日本・中国・韓国・台湾出土古人骨・歯への非破壊多元素同位体解析によるストロンチウム安定同位体比(87Sr/86Sr)などから、婚姻による移動、広域的人口移動、季節的移動を、これまで代表者が行ってきた親族関係研究と対比しつつ解明する。さらに、それらの背景にある社会関係の回路を通じて展開した石器や金属器などの高精度元素分析・EMP年代測定を実施して精密な産地同定を行い、生存財から威信財までの生産と流通(物流ネットワーク)を解明する。そして、これらを総合し東アジアにおける原始古代の社会システムを通時的に明らかにすることを通じて、九州大学に東アジアにおける埋蔵文化財の分析拠点を構築する。

 ●ニュース
東北巡検:平成24年2月4日(土)〜8日(水)
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災ならびに東京電力福島第一原発事故による文化財被災状況を探るため、東北地方の太平洋沿岸地域(岩手県南部〜千葉県北部)の古墳時代諸遺跡を踏査した。
 また、対象地域に所在する横穴墓の地域間形態比較を行い、今後人骨歯牙Sr分析を実施する上での基礎データを収集した。このデータに基づき、基盤研究(A)「高精度元素・同位体分析システムを用いた東アジア原始古代親族関係の研究」(研究代表者:田中良之)で継続して研究を進めている。

今回の調査には以下の7名が参加した。
田中良之(比較社会文化研究院・教授)
小山内康人(比較社会文化研究院・教授)
中野伸彦(比較社会文化研究院・助教)
田尻義了(九州大学埋蔵文化財調査室・学術研究員)
足立達朗(比較社会文化研究院・学術研究員)
石田智子(比較社会文化研究院・学術研究員)
岩橋由季(比較社会文化学府・博士課程2年)
玄武岩質安山岩製石包丁原岩産地調査(平成23年12月23〜24日)
弥生時代後期の北部九州において広く流通していたと考えられる玄武岩質安山岩製石包丁の石材原産地を特定するため,長崎県・多良岳地域から佐賀県・両子山地域にかけて分布する火山岩類の広域的な野外地質調査を実施した.
また,調査で採取した岩石試料を用いて薄片を作成し,LA-ICP-MSやFE-EPMAなどの地球科学的分析に基づく岩石学的検討を行った.その結果,石包丁に用いられた岩石は,「多良岳古期安山岩類(小形,1989)」と呼称される玄武岩質安山岩と岩石学的特徴が一致した.これにより,石包丁の材料となった玄武岩質安山岩の原産地が多良岳周辺である可能性が高いことが明らかになった.このデータに基づき,弥生時代後期の北部九州における石包丁の生産・流通の実体を精密化する研究を進めている.
参加メンバー:小山内康人(比較社会文化研究院・教授),中野伸彦(比較社会文化研究院・助教),足立達朗(比較社会文化研究院・学術研究員),米村和紘(比較社会文化学府・博士課程2年),渡部芳久(佐賀県教育庁),能登原孝道(熊本県教育庁)
宮崎県都城市菓子野地下式横穴墓出土人骨調査
2011年12月7日(水)と8日(木)に、宮崎県都城市菓子野地下式横穴墓の発掘調査現場において出土した人骨の記録・取り上げ作業を行った。現場では2基の遺構から合計4体分の人骨が出土しており、それらの埋葬プロセスの観察・記録を行うことで今後の分析の際に必要となる考古学的データが得られた。
宮崎県考古学会における研究成果の発表ならびに南九州地下式横穴墓出土人骨の調査
2011年11月12日(土)から11月13日(日)にかけて宮崎県都城市で行われた宮崎県考古学会県南大会において、田中良之教授による墓出土人骨を用いた親族構造の研究の発表がなされた。また11月14日(月)には宮崎県西都原考古博物館において、南九州に分布する地下式横穴墓出土人骨の年齢・性別や分析可能個体の把握などの予備的調査を行った。また、近辺に存在する遺跡の巡検を行い、今後の分析に向けて出土地の立地や周辺地形等のデータを収集した。
九州考古学会・日本地質学会西日本支部合同大会:平成23年7月9~10日
7月9日(土),九州大学西新プラザにおいて九州考古学会・日本地質学会西日本支部合同大会「考古学と地球科学ー融合研究の最前線」が開催された。これは,平成22年度から実施してきたP&Pプロジェクトの成果をまとめて一般公開する初の機会となった。本学会には総勢120名の考古学者・地球科学者が参加し,分野を越えて議論を共有することができた。また,高知大学の岡村眞教授の招待講演では津波堆積物を用いた長期的な地震・津波予知の現状についての極めて興味深い報告があり,本学会が大いに盛り上がった。
研究集会終了後には,西新パレスに場所を移し,懇親会が開催され,参加者の親睦が深められた。

研究発表内容についてはこちらを参照

7月10日(日)には弥生時代青銅器鋳型石材に関する巡検(八女地域・吉野ケ里遺跡)が行われた。八女地域では,青銅器鋳型石材である石英斑岩の露頭と河原の転石,および周辺の弥生時代遺跡を見学した。次に,吉野ヶ里遺跡では,出土青銅器鋳型の資料について調査担当者と議論し,遺跡公園内を見学した。

第三回研究集会:平成23年6月9日(土)ー比文言文棟321号会議室
第三回研究集会が、海外からの2名の訪問研究員,比較社会文化学府・理学部の教員・研究員・学生の総勢27名の参加のもと行われた。田中代表からの趣旨説明に引き続き、以下の内容で進められた。
経過報告(田中良之教授・小山内康人教授)
発表1:Sr同位体比分析の成果と展望(田中良之教授)
発表2:鋳型石材分析の成果と展望(田尻義了学術研究員)
発表3:胎土分析の成果と展望(石田智子学術研究員)
発表4:韓国における資料状況(金宰賢東亜大学校教授)
発表5:台湾における資料状況(邱鴻霖清華大学助理教授)

特に金教授と邱助理教授の話は韓国および台湾における考古学の進展を知る上で興味深い内容であり,今後のプロジェクトの方向を考える上で重要であった。

会議終了後、有志一同は、YahooドームにてソフトバンクVSヤクルト戦を観戦した。試合はホークスが4対1で勝利をおさめた。
その後、2011年7月に開催される九州考古学会・日本地質学会西日本支部合同大会の成功に向けて、九州考古学会運営委員会メンバーを交えて、懇親会が行われた。

韓国南岸部人骨・土器サンプル採取:平成23年2月22日(火)〜25日(金)
 新石器時代〜弥生時代における日韓交流の実態を探るため,東亜大学を訪問し,釜山市にあるザンハン遺跡を調査した。
 東亜大学では勒島遺跡から出土した人骨・歯牙試料をサンプリングし,骨盤や・筋付着部の観察を行った。東亜大学校博物館では,同遺跡からの土器と胎土試料の提供を受けた(写真上)。これらは,分析される予定である。
 また,釜山市江西区城北洞の加徳島に所在するザンハン遺跡の発掘現場を訪問し,新石器時代の人骨・石材について韓国の研究者と議論した(写真下)。また,合わせて,土壌試料のサンプリングも行った。

今回の調査には以下の9名が参加した。
 田中良之(比較社会文化研究院・教授)
 小山内康人(比較社会文化研究院・教授)
 中野伸彦(比較社会文化研究院・助教)
 田尻義了(九州大学埋蔵文化財調査室・学術研究員)
 端野晋平(人文科学研究院・日本学術振興会特別研究員PD)
 石田智子(比較社会文化学府・博士課程3年)
 李ハヤン(比較社会文化学府・博士課程2年)
 高椋浩史(比較社会文化学府・博士課程1年)
 米元史織(比較社会文化学府・修士課程2年)

第二回研究集会:平成22年11月19日(土)ー比文言文棟321号会議室
 第二回研究集会が比較社会文化学府・文学府・理学部から15名の参加のもと行われた。田中代表からの趣旨説明に引き続き。以下の内容の発表・議論が進められた。
●発表1:弥生時代における青銅器鋳型石材の原産地推定(田尻義了学術研究員)
●発表2:「歯牙試料のSr同位体比を用いた古代人移動と婚姻様式」に関する研究の進展状況(田中良之教授)
●科研費の申請について
●日本地質学会西日本支部・九州考古学会の合同大会について(2011年7月頃開催予定)
●分析マニュアルの作成について
第一回研究集会:平成22年7月9日(土)ー比文言文棟321号会議室
 本研究の第一回研究集会が比較社会文化学府・文学府・理学部から約40名の参加のもと行われた。田中代表からの趣旨説明のあと,歯牙試料のSr同位体比を用いた古代人移動と婚姻様式(田中),土器・青銅器・ガラス玉(学術研究員・院生)についての予察的研究結果についての説明があった。これらの発表を受け,全員でプロジェクトの進め方について話し合われ,ホームページの開設などが決定された。
 会議終了後は懇親会が開催され,参加したメンバー18名は今後のプロジェクトの成功を期して大いに盛り上がった。