You Tube 九大比文 公式チャンネル
九州大学大学院比較社会文化学府・研究院の公式チャンネルを開設しました。
トップ  >  インタビュー
 インタビュー  
 
 
「日本文化塾」を立ち上げて:日本人学生と留学生の交流を深めるために
 
お 話:比較社会文化学府修士課程1年 永嶋洋一さん
 
聞き手: これまでの取材記事では、主に比文教員の研究活動を紹介してきましたが、今回は、はじめての試みになりますが、比文院生で、留学生向けの自主学習講座を立ち上げている大学院生の活動を紹介したいと思います。
 今回紹介する方は、修士課程1年生の永嶋洋一さんです。はじめに、永嶋さんが立ち上げられた「日本文化塾」という会の概要や設立の経緯を教えて下さい。

永嶋: 「日本文化塾」は、留学生の皆さんに普段の授業では学ぶことのできない日本の様々な文化を理解してもらうために、学生主体のプロジェクトとして2010年10月から始めました。私は日本語教育を専攻していたので、最初は自分の勉強のために日本語を教える教室を開くつもりでした。しかしながら、ただ単に日本語を教えるだけでは受講者にとって普段の日本語の授業と変わらないものになりますし、やはり大学の授業では教わらないこと、例えば流行語や若者言葉、方言やオタク文化などについて留学生に教える方がいいのではないかと考えた結果、現在の形になりました。

聞き手: なるほど。せっかくですので、協力して下さった院生の方々のお名前や、授業の内容を教えて下さい。

永嶋: 授業をして下さった順に、坂本直美さん、長谷川順子さん、辰野茉貴子さん、藤田花衣さんに協力して頂きました。また、今学期最後の授業は林美由紀さんに担当してもらう予定です。皆さん、日本語教育や韓国語学など言語に関する研究している比文の院生です。これまで「日本の若者言葉」、「日本の小学校事情」、「日本のお正月」、「日本の年賀状」等について、お話をしてもらいました。
「日本文化塾」での授業テーマなど
  授業テーマ 発表者 参加者
第1回 福岡の名所、名物について 永嶋洋一 9名
第2回 日本の映画、歌について 永嶋洋一 7名
第3回 日本のプロ野球について 永嶋洋一 9名
第4回 日本の若者言葉について 坂本直美 12名
第5回 日本の流行語について 坂本直美 11名
第6回 日本の小学校について 長谷川順子 10名
第7回 日本のお正月について 辰野茉貴子 15名
第8回 年賀状について 藤田花衣 11名
第9回 春の七草について 藤田花衣 12名
第10回 日常生活で使える表現 坂本直美 12名
第11回 博多弁について 坂本直美 10名
第12回 2011年1月28日開催予定 林美由紀  

 注)伊都キャンパス図書館2Fオープンセミナー室にて、毎週金曜日の17:00~18:00に開催しています。興味がある方は、永嶋さん(yoichi_yangil*hotmail.com *を@に換えて送信して下さい)まで御連絡下さい。

永嶋: 最初は、私がひとりで授業をしていたのですが、他の院生の方々に授業をお願いするようになって、参加者が増加し、反応も良くなっていきました。回を重ねるごとに交流の輪が広がっていくことを実感することができ、大きな充実感を得ることができました。例えば、藤田さんが「日本の年賀状」について授業した際には、実際に留学生に年賀状を書いてもらおうという試みもしました。藤田さんは、習字道具や年賀葉書まで用意してきてくれて、本当にありがたかったです。留学生のほとんどは年賀状を書くのがはじめてでしたので、大変好評でした。

>

(写真:「日本文化塾」の授業の様子。この回の先生は、坂本直美さんと藤田花衣さんが務めてくれました。)


聞き手: 楽しそうな取り組みですね。これだけ協力してくれる担い手が多ければ、継続的な活動ができるのではないでしょうか?

永嶋: はい。先ほど名前を挙げた方々以外にも、協力してくれる人が出てきつつあります。先生方や大学の国際部の方も協力的で、広報活動に協力してもらったこともありました。私自身、今年の2月末から半年間、交換留学のために中国に行く予定ですし、その後は修士論文の執筆もあるので、1人では続けていくことはできません。比文には、日本語教育や海外事情に関心がある院生が多く在籍していますし、来年度入学してくる新入生にもぜひ参加してほしいと考えています。今後も活動の輪を広げて行きたいですね。

聞き手: なるほど。やはり、個人のがんばりで続けていくのではなく、ある程度の数の協力者を集めた上で、継続的に活動していける体制を整えるというのは、大事なことですね。ちなみに、この「日本文化塾」を発展させた、別の活動もされているそうですね。

永嶋: 昨年末から、本年初頭にかけて、「中国事情」と「韓国事情」というプロジェクトを各3回開催しました。中国・韓国へ留学経験のある日本人学生と中国・韓国からの留学生が両国の事情を紹介することで、日本人学生が中国・韓国に興味を持つきっかけにすること、日本人学生と中国・韓国人留学生が交流を深めていくことを目標にしています。ですので、日本人の中国・韓国留学経験者に話をしてもらうだけでなく、留学生にも母国のいろんな話をしてもらうことで、双方向的な交流をやっていけないかと考えました。


(写真:永嶋洋一さん:2003年~2004年に韓国の西江大学校、2008年~2009年には中国人民大学、2010年には中国の大連外国語学院に留学経験があるそうです。)


聞き手: 私も「中国事情」「韓国事情」のチラシを見て、参加させて頂きましたが、当日は、日中韓の学生さんが、かなり参加してくれていたようですね。これだけの会を開くためには、かなりの段取りや準備が必要だったと思います。

永嶋: はい。一番大変だったのは、「日本文化塾」の場合と違って、日本人学生に留学経験者が少なく、発表者を確保するのが難しかった点です。国際部から、留学経験者を紹介してもらい、何とか発表者を確保することができました。また、院生だけでなく、学部学生を含めて中国・韓国に興味を持っている人にも来てもらいたかったので、中国語、韓国語の授業をされている先生にお願いして広報活動を行いました。私自身、学部も九大出身なのですが、九大で学んだおかげで、韓国や中国に興味を持ち、留学するチャンスを与えてもらったので、大学への恩返しとして、私の経験を学部学生にも伝えて行きたいと思っています。全学教育の中国語の授業でも、担当の中里見先生の協力を頂いて、広報活動をさせて頂きました。また、韓国語の授業ではイ・サンモク先生にご協力いただきまして、たくさんの学生に参加してもらうことができました。クチコミでも、参加を呼びかけたりもしました。今後も形は変わっていくと思いますが、留学生と日本人学生による相互参加型の交流を行いたいですね。

聞き手: 最後に、永嶋さんの今後の予定や将来の夢をお聞かせ下さい。

永嶋: 今年の2月末から6月末まで、中国吉林省の東北師範大学に交換留学生として受け入れて頂き、研究してきます。私は、修士論文では、日本占領期の満州地域における朝鮮族に対する日本語教育について研究したいと思っているので、当時の資料が多く保存されている同大学に交換留学できることは、良いチャンスだと思います。これに加えて、留学先でも、国際交流の経験を積んでいきたいと思います。自分が留学生として生活してみることで、九州大学の国際交流のあり方を考える上で、参考にできたら良いと思います。将来は、日本語を教える仕事や国際交流にかかわる仕事に就きたいと思っています。就職については厳しい分野ではありますが、初心を大事にして、研究やその他の活動に励んでいきたいです。

聞き手: 今日は、お忙しい中、大変興味深い話をありがとうございました。是非、がんばって下さい。

(聞き手:比較社会文化学府教員 阿部 康久)