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 E. ヴォーゲル教授と討論! 第1回地球社会統合科学セミナー開催報告



  2013年9月7日(土)、記念すべき第1回地球社会統合科学セミナーを開催いたしました。
  お招きしたのは、ハーバード大学の名誉教授で、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』や『現代中国の父 鄧小平』(中国語
 タイトル:鄧小平時代)の著者のエズラ・F・ヴォーゲル先生。
  昼食会形式で開かれたこのセミナーには、比較社会文化学府を中心に九州大学の大学院生が参加し、今後の日中関係
 についてヴォーゲル先生と膝を交えて議論しました。

      日時:2013年9月7日(土) 12:00-13:30
      場所:箱崎キャンパス国際ホール 留学生センターフリースペース
      テーマ:「日中関係:私たちは互いの国をどう見るか」
      報告者:栗崎愛子(比較社会文化学府・博士課程2年生)
           張竹(株式会社カルビー会社員、比較社会文化学府卒業生)
      ファシリテーター:山尾大(比較社会文化学府・講師)

  セミナーではまず、比較社会文化学府の学生である栗崎愛子さんと、同じく本学府の卒業生である張竹さんが共同報告
 を行いました。
  栗崎さんは日本文学を専攻しており、2012年9月から1年間、九州大学の交換留学生として北京大学に留学しました。
  張竹さんは、2009年10月から比較社会文化学府で国際関係を学び、修士号取得後は日本企業に就職し、現在は東京
 で暮らしています。
  二人は中国と日本という相手国での生活の経験を踏まえ、日中両国の相互イメージと現実とのギャップ、両国社会の
 長所や問題点などを生き生きと描写し、今後の日中関係について意見を述べました。
  それからヴォーゲル先生が報告へのコメントを述べ、さらにその他の大学院生も積極的に先生に質問し、今後の日中
 関係について参加者全体が突っ込んだ討論を行いました。
  ヴォーゲル先生は、おそろいのiPadで息もピッタリな報告を行った二人を大絶賛。あのような素晴らしいパートナーシップ
 は日本の大学院ではよく見られるのかなど、セミナー終了後も何度も二人に関する質問をされていました。
  日中両国でベストセラーを出版し、日本語にも中国語にも堪能な社会学者として、ヴォーゲル先生は日中両国の政治
 関係の悪化を強く懸念されています。
  日本と中国の明日を担う世代が、日々、自然体で絆を強めていることが実感できたこのセミナーは、先生にとって
 極めて印象深かったようです。

                   (文責・益尾知佐子、比較社会文化学府教員・『現代中国の父 鄧小平』日本語版訳者)



集合写真


            


報告にコメントするヴォーゲル先生


      


報告を聞きながら笑みをこぼすヴォーゲル先生


      


報告者 張竹(左)、栗崎(中央)



 第1回地球社会統合科学セミナーに参加して
                         比較社会文化学府 修士1年 劉振宇



  9月7日は朝から曇りで、私が会場に着いたとたんに雨が降り始めました。会場の鍵を預かる身であったため、各部屋の
 ドアを開けながら、ちょっと心細くなってしまいました。
  雨の日だと、セミナーの後の講演会の客足が鈍るかと考えたのです。
  その後続々とセミナーに参加する学生が集まり、みなで会場の机と椅子を配置したりポスターを貼ったりしました。

  共同作業が終わり、そろそろヴォーゲル先生がいらっしゃる時間になりました。
  ポスターの写真に映った先生にはとても親切な感じを受けていましたが、もうすぐお会いできると思うとちょっぴり緊張感
 が出てきました。
  ここで中国の言い回しの一つ、「年高德劭」(高齢で徳が高いことを表す)が頭に浮かびました。
  そういう方にもうすぐお会いするのだとドキドキしていたら、ヴォーゲル先生と益尾先生が部屋に入って来られました。
  この時のヴォーゲル先生の第一印象は、まるで子供の時に近所にいたおじいちゃんみたいで、優しそうな方だと思いました。
  みなで簡単な挨拶を交わして、早速セミナーを始めました。

  今度のセミナーでは、昼食を挟んで、日中の学生たちがどう日中関係を見るかを話し合いました。
  まずは栗崎愛子先輩、張竹先輩の二人の報告から始まりました。両先輩はそれぞれ、相手国である中国と日本に留学した
 経験談をもとに、個人の観点から見た日中関係の現状、展望そして今後の懸念について話しました。
  率直に言って、現在、日中両国の政治的関係はよいとは言えません。
  初めてこのテーマについて聞いたとき、きっとシリアスな討論になってしまうだろうとばかり思っていました。
  しかし、両先輩の発表の間、会場は何度も笑い声に包まれました。そこにはまさに、留学して相手国の社会を熟知した者
 だけが知っている、日中両国の社会的相違や相手国の人々の生き生きとした暮らしぶりが描かれていました。
  おそらくその報告にみな、自分の経験を重ね合わせたことでしょう。
  ヴォーゲル先生も微笑んで先輩方の報告を褒めてくださいました。

  その後、現在の日中関係について討論が始まりました。
  ヴォーゲル先生は、現段階で両国は互いに刺激するようなことをすべきではなく、日本の場合は政治家が靖国神社参拝を
 自粛する方が得策だし、またアメリカとしても盟友の日本が中国と平和的に共存し続けてくれる方が望ましいなどとおっしゃ
 いました。
  この貴重な機会を捉えて、私からも「先ほど日本の場合についておっしゃっておられましたが、中国の方はどうすべきで
 しょうか」と質問させていただきました。ヴォーゲル先生は優しい口調で、「中国は日本からの援助で経済発展を進めてきた
 ことを正しく宣伝すべきです」と応えてくださいました。

  セミナーの時間は飛ぶように過ぎていきました。その後の講演会には、私の予想に反して200名近い参加者がありました。
 ヴォーゲル先生からいただいたお言葉は、振り返ってみると本当にいい勉強になりました。今回のセミナーは、私にとって
 一生大事な体験になったと、今もそう思っています。